東京スローリー

伝統を受け継ぎ、進化し続ける老舗蕎麦店 ― 蓮玉庵

創業は1859年、安政6年まで遡る。今年で164歳を迎える『蓮玉庵』は森鴎外、樋口一葉、坪内逍遥、池波正太郎など文豪の作品中に幾度となく登場する蕎麦の名店である。

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江戸時代から令和まで人々に愛され続ける理由は言うまでもなく蕎麦へのこだわりにある。蕎麦粉の割合は気温や湿度によって調節、打ち上げた蕎麦に応じた茹で加減、日々の変化に対応することによって、歯ごたえがしっかりとしていて滑らかな喉越し、そして鼻から抜ける蕎麦の香りが再現され続ける。また、江戸前の辛口のつゆは、時代とともに変化する醤油の風味や味の好みに合わせて調整される。
〝毎日食べても飽きない蕎麦〞は不断のこだわりによって成り立っている。

「上野不忍池競馬」の版画
久保田万太郎氏による看板。屋号は初代が不忍池の蓮を眺め“葉の上の玉の如き露”にちなんで名付けた
蕎麦猪口のコレクションがギャラリー風に展示さ
れる店内

「蓮玉庵の味、美味しさは守りつつ、4年前からおつまみのメニューを増やしました。時代のニーズに合わせてハイボールも提供するなど変えるところは変えています」と語る八代目・新舘豊範さん。
六代目と相談しながら、美味しさ、お客様がより楽しめるようにと日々考えているという。
季節によって変わる店内に飾られている版画も楽しみの一つ。取材したこの日は日本ダービーが近く、「上野不忍池競馬」の版画が飾られていた。
美味しい蕎麦はもちろん、季節によって変化する店内の雰囲気にも粋なおもてなしの心が込められている。
「鈴本演芸場を訪れるお客様や噺家さんも立ち寄ってくださるので、そういった繋がりで何かやりたいな、とも思っているんです」とも語る八代目。
伝統を守り続け、挑戦、進化し続ける老舗の姿がそこにあった。

古式せいろそば 別打 ち入り三枚重ね
14時までの限定メニュー「古式せいろそば 別打ち入り三枚重ね」1,000円。取材日の別打ちは「よもぎそば」。季節によって、桜、しそ、柚子など変わるので楽しみが増す
「鴨の燻製」800円
「月見いも」800円
「 たらこと昆布の佃煮(柚子風味)」450円

蓮玉庵

れんぎょくあん
電話番号03-3835-1594
住所東京都台東区上野2-8-7 
営業時間11:30~18:30
休業日月曜、第2・4火曜日、祝日の翌日