東京スローリー

創業以来、代々の物語を受け継いで供される珠玉のおでん ― 浅草おでん 大多福

1915年創業の老舗『浅草おでん大多福』。一般的に関東風のおでん、関東炊きというと濃口醤油で辛めに仕上げるのが定番。しかし、もともとは大阪から東京に出てきた当店。薄口醤油を使い、鰹と昆布で取った出汁を活かした味付けになっている。大きな鍋で常時30〜40種を煮込んでいるタネの旨みがつゆに染み出し、関東風でも関西風でもない、大多福ならではの美味しさを生み出す。〝まろやかで飲める出汁〞そんな呼び名がおでんつゆの味の特徴を表している。最後にご飯にかけてお茶漬けのように召し上がるお客様もいるのだとか。

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「四代目の祖父には伝統を守る大切さを学び、五代目の父には新しいことに挑戦する大切さを学びました。
時代時代でお客様が求める味やサービスも違う。お客様のご意見を聞き、改善を重ねることで今の大多福の味やサービスが作られたのだと思います。受け継いできたのは代々の物語なのかもしれません。もっと多くの人に大多福のおでんの美味しさを知っていただきたい」と語る六代目の船大工海斗さん。
2019年にリニューアルオープン。そしてコロナ禍。お酒の提供ができない中でも、足繁く通う常連さんの姿があったという。


「常連さんに支えられました。コロナ禍では常連さんと話す時間が多くなり、そんな会話の中にお客様の求めているものがあるのだと再認識することができました」とも語る六代目。
4年が過ぎ街に賑わいが戻った今、お客様の8割が海外の方という日もあるのだそう。
「まだ力不足ですが、海外に、世界におでんを広めること、それが自分の代の役割だと思うようになりました」
創業から守り続けてきた、そして挑戦し続けてきた大多福。六代目が紡ぐ物語も楽しみな、珠玉のおでん店だ。

言問通り沿いに、行燈の灯る細道が現れる
どのタネを食べようかと大鍋を覗けるカウンター席
2階のお手洗いの蛇口はおでん

浅草おでん大多福

あさくさおでんおたふく
電話番号03-3871-2521
住所東京都台東区千束1-6-2 NS言問ビル1階 
営業時間16:00~22:00(L.O. 21:00)
休業日月曜