伝承の美しい美味しさ ― 資生堂パーラー 銀座本店レストラン
銀座八丁目が出雲町と呼ばれていた1902(明治35)年、日本初の民間洋風調剤薬局「資生堂」の薬局内にソーダ水とアイスクリームの製造販売を行う「ソーダファウンテン」として誕生した『資生堂パーラー』。
1928(昭和3)年に吹き抜けのある2階建ての建物で『資生堂アイスクリームパーラー』となり、そのメニューに西洋料理が加わり95年。
銀座を代表するレストランとして多くの顧客に愛され続けている。
その美味しい理由は〝美しさ〞。
開店前にスタッフによってセッティングされる磨かれたシルバーのカトラリーに象徴される顧客を迎えるテーブル。そして提供されるお料理の上質な盛り付けなど全てが奇をてらわない美しい表現で統一されている。
繊細で扱いが難しいとされる卵料理。なかでも開業から変わらないレシピでつくられる『チキンライス』をフライパンのなかで包み込む技術が必要とされる『オムライス』は『資生堂パーラー』の料理人たちにとって登竜門だと言われている。
まるで赤ちゃんの肌のようなプルプルの卵は思わず頬釣りしたくなるほどの美しさ。さらにフォンドボライユベースのトマトソースによって彩られ食べる前からその姿にため息が出るほどだ。このほっこりする優しい美味しさ。老若男女、国籍問わず『オムライス』を目当てに訪れる顧客が多いという。
昭和初期に登場した『ミートクロケット』は、後に3代目の総調理長を務める高石鍈之助氏が皇室の午餐会で目にしたフォアグラ入りコロッケをきっかけにして開発したメニュー。
当時、一般的なコロッケは家庭でつくられる大衆的な料理だったが、高石氏は『資生堂パーラー』に相応しい高級な料理として提供する為に試行錯誤を重ね、ペシャメルソースで仔牛肉とハムを包みこむことによってこれまでにない上品な美味しさを表現した伝説のメニュー。それは「フランス風の高級コロッケ」として瞬く間に銀座を代表する名物料理になったという。一度揚げた後にオーブンで火を通すことによって表面はパリッと、中身はシルクのような舌ざわりのソースが溶け出し、さらに仔牛肉とハムの食感がおりなす美味しさは令和の今も私たちに〝至福のとき〞を提供してくれている。
パリッとした衣の食感ととろける舌ざわりのソースは先人の編み出した発明
美味しさも立ち姿も完璧な
伝統あるデザート
SNSの普及によって新たなゲストも増え、これまで以上に顧客が多様化している。「銀座という場所柄、お客様は多種多様、いろいろな方がいらっしゃいます。その全てのお客様にそれぞれに最高のお食事を愉しんでいただきたい」と語る店長の杉本さん。どんなゲストにも多くを語らずとも顧客の要望を察して提供されるサービス。それぞれのテーブルで演じられる日常のドラマを支えるスタッフの高いパフォーマンスを愉しむのも『資生堂パーラー』ならではの食体験なのだ。店長の杉本さんは「これからは若い方たちにもお越しいただくようなメニューを開発したい」と語る。〝銀座〞で世紀を超えて愛されてきた『資生堂パーラー』は歴史を紡ぎながら進化する〝美しい美味しさ〞を、これからも私たちに提供してくれる。
1960年代よりストロベリーパフェを提供。
資生堂パーラー
銀座本店レストラン
電話番号 | 03-5537-6241 |
住所 | 〒104-0061 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル4F |
営業時間 | 11:30-21:30(L.O.20:30) |
休業日 | 月(祝日の場合は営業)年末年始 |