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〝学問の神様〞のお膝元三代目は鰻を愛する〝探究者〞 ― うなぎ割烹 小福

〝学問の神様〞として有名な湯島天神の男坂下。故5代目柳家小さん師匠が自らの丼を持って日参したという『ゆしま小福』。今年で創業78年。現在は三代目・小暮貴生さんが先代からの味を引き継いでいる。

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3年前、長年パートナーを組んでいた職人さんが引退したことを契機に、活鰻の割きから串打ち、蒸して焼きまでをご主人1人で担っている。「ひとりで全ての仕事をすることによって分かってきたことがあるんです」と語るご主人。一品一品料理ごとに蒸し時間や焼き方を変え、お客様に完璧な状態でお出しする努力を日々続けていると言う。

小学生の頃から店の手伝いをさせられていたご主人。「中学の時、忙しいさなか父がいきなり『焼いてみるか』と白焼きを焼かせてくれた。
串がものすごく熱かったのを覚えている。その時『3代目当主になろう』と子供心に思った。」そうだ。鰻の仕入れ環境が年々厳しくなるなかで「初代 そして2代目が歴史をつないでくれたことに感謝して『小福』を大事にしてくれるお客さまに感謝して、毎日、真剣勝負で丁寧な仕事をしたい」と語る。

夏に嬉しい『うざく』 2200円
落語家・柳家小さん師匠が持ち込んだ「丼」

その言葉通り、うなぎに箸をつけた瞬間にわかる肉厚の弾力、口に運べばふんわりととろける食感、そして鰻の味を引き立てる、すっきりとした甘辛のタレ、その全てにご主人の丁寧な仕事ぶりを堪能できた。つねに鰻に向き合い美味しさを探求する、3代目は妥協を許さない孤高の職人だった。

3階のお部屋は今も元気な大女将さんのデザインによるもの
2階のカウンターの真ん中には池があり鯉が泳ぐ。最近では海外からの観光客が席を指定することも

うなぎ割烹 小福

うなぎかっぽう こふく
電話番号03-3831-7683
住所東京都文京区湯島3-36-5 
営業時間月17:00~21:00(L.O.19:30)
火~金 11:30~14:00(L.O.13:30)
    17:00~21:00(L.O.19:30)
土 11:30~15:00(L.O.14:30)
休業日日曜・祝日・祝日明けの昼