食
継承される〝心〞と〝技〞気どらない〝一流〞を堪能する ― 弁天山美家古寿司
「手前どもの寿司の特徴は『酢飯』『仕事を施した寿司ダネ』『新鮮な山葵』そして『にきり醤油』この4つのバランスによって寿司の美味しさを最大限に引き出すことにあります」と語る柔和な笑顔が印象的な五代目・内田正さん。冷蔵庫のない時代には必ず寿司ダネに仕事を施していた技を先代から引き継ぎ、今も、マグロの醤油漬けやヒラメの昆布締め、アナゴの爽煮など、ほとんどの寿司に下ごしらえをした古典的な江戸前寿司を愉しめる希少な一軒である。
現在は、五代目の内田さんと六代目の山下大輔さんがカウンターの定位置に並び、カルテットの演奏を奏でているようなリズム感で〝江戸前の仕事〞をされている。いただく寿司の一貫、一貫に込められている〝手間〞と〝思い〞は、その美味しさとともにご主人たちの心意気も感じられる、他では味わえない逸品である。「三代目と四代目の時代には空襲がございまして、五代目と六代目の時代にはコロナ禍で…」と淡々と語る内田さん。その穏やかな表情の中には世紀を超えて受け継いできた強い〝心〞が垣間見える。有名店にありがちなカウンターの緊張感を感じることもなく、心地良く、しっかりと技を施された極上の美味しさを堪能できる気取らない一流の寿司が浅草にはある。
弁天山 美家古寿司
べんてんやま みやこずし
電話番号 | 03-3844-0034 |
住所 | 東京都台東区浅草2-1-16 |
営業時間 | 火~土 12:00~14:30(L.O.14:00) 17:00~21:00(L.O.20:00) 日・祝 12:00~18:00(L.O.17:00) |
休業日 | 月曜 第三日曜 |